能力開発工学、教育−なんでもQ&A
Q19
 そのことができれば、教えることはできるのではないか?名選手なら名コーチになれると考えていいか?

A19
 一般的に技術や技能、スポーツなどの指導の場合、多く見られる例ですが、指導者は「自分ができる、と他人に教えられる」と考えていることが多いようです。また、仕事や家庭での子育てにも見られることが多いようです。

 そしてその教え方は、まず説明をして、やってみせて、そしてやらせる。できないところを注意する。それでもできないと怒鳴る、といったようなやり方のようですね。

 こうしたことで一番の問題は、指導される者(学習者)が物事(技術や技能など)をどのように身につけるかということを考えず(研究せず)に、自分の経験したことだけを元に指導しようとすることです。しかも、自分ができるようになったプロセスを忘れて、結果を押しつけようとする。今の自分の意識にあることだけを、言葉にして言っているだけの場合が多いようです。

 できるようになってしまうと意識もせずにやっていることでも、自分ができなかった時は、苦労して練習したはずで、それを忘れてしまっているのでは指導はできません。まず自分ができるようになったプロセスを分析することです。どのような経験をしたかを自覚していなくてはいけませんね。自分で考えて、やってみて、どのような失敗をして、どういう工夫をしてできるようになったかを調べ上げられるかどうかの能力が必要ということになります。そして、教える相手に合わせて、自分で考える場、経験する場を作ってあげることが指導者の役割と言えます。

 これは、指導するとはどういうことか、人間はどのように育つかということがまるで考えられていないと言ってもよいでしょう。スポーツの世界などでも多く見られるように思います。特に日本のスポーツ界は経験主義で、そのスポーツをやった人間、うまくできた人間でないと、コーチ、指導者になれない風潮があるように思います。 

Q&Aのページへ戻る   JADEC-TOPページ