能力開発ニュース52号2000.8.28発行
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これからも能開方式を

        能力開発工学センター名古屋分室 西澤  明

○名古屋分室のその後
 能力開発工学センターニュース40号(97年1月発行)でコンピュータリテラシーの普及活動について報告しました。その中で今後の方針として取りあげたのは次の3点でした。
(1) リテラシーコースを主体に枠を拡げたコースを考える
(2) 教材のソフト化を進める
(3) 研修対象の底辺を拡大する(市の社会教育センターへの普及)
 (1)については今までの実績で継続して利用していただいた数社とマイコン制御入門、ディジタル回路設計、C言語、CAD/CAM、経営管理者の情報化啓発セミナーのコースを開いた。いずれもオーダーメードで、受講者の経験等を考慮してそのつど内容を改訂しながら実施しているが、必ずソフト化したコンピュータリテラシーを採り入れており、その成果は好評である。
 (2)のソフト化は、ブロック教材で学習するのが理想的であるが、市民大学コース等高齢者では、CPUの働きの複雑な配線になると極端に手間取り、肝心の観察・理解の時間がなくなってしまうため、パソコン画面で1パルスごとにどのように変化していくのかをくり返し見られるようにアニメーション化した。その他の部分はビデオとOHPで代替したところ、従来20時間のセミナーが7時間でできるようになった。
 成人対象のコースでは、思考、理解力も割合高いので、この方式でも学習が成り立つようである。これは、元来能開方式の教材がコースを一貫したストーリーとして、全体像がつかめるようになっているためと考えられる。
 (3)について、2ケ所の生涯学習センターでの実績をもとに拡大するつもりであったが、体調を崩し、その後のフォローを怠ったことと、当時各センターにパソコンを設置する計画が出ており、受講者ニーズを考え、リテラシーコースはパソコンの操作コースに取り代わったようである。

○これからどうする
 いま教育改革や情報化へ対応が叫ばれている。ツールが進化する中でマニュアル化で人が育つと考えている人が多数派であることを、ここ数年の研修経験で痛感した。考えられないような技術的な事故が頻発しているのも無理はない。今ほど能開方式の真価が問われるときはないと思う。例えばリテラシーコースを見てみよう。これは単に目的のコースの学習のみでなく、実はあらゆる業務に通じる問題解決やコミュニケーションの手法を意識しないで体得し、その成果が自信につながり、新たな課題にも挑戦していく力が生まれている。これが主体的学習の本質でなかろうか。教育企画者の啓蒙も必要だが、少なくとも成人コースでは学習者自らがコースを選定していけるようになりたい。現今のメディアの進化はこれに応えるコースの提供も可能としていると思う。私の小さい経験からも少数派ながら本物指向で学習に向かい合っている人たちがいる。微力ながらこれらの人たちにアドバイザーとしての支援を続けていきたいと考えている。


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