能力開発ニュース47号 1998. 9.16発行
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JADECからのお知らせ

モデルチェンジしました 〜〜
  「電気・シーケンス制御入門」学習教材

 製造現場で働く方々が、電気・シーケンスを自信を持って扱えるようになる学習教材「電気・シーケンス制御入門」は、発売以来2年間多くの方々に利用していただいてきましたが、この度一層多くの方々に利用していただくためにモデルチェンジを行いました。

 1.三つに分割、それぞれ独立させました
 これまで電気の基礎からPC(プログラマブル・コントローラ)の活用までの連続した内容で構成してありましたが、三つのユニットに分割、独立した教材にしました。

   電気による制御入門  シーケンス制御入門  PCによる制御入門

 全体は「電気・シーケンス制御入門シリーズ」として、ご案内いたします。これは、研修の進度に合わせて段階的に導入したいというユーザー企業の希望にこたえたものです。
 また、電磁弁カット教材、半導体学習教材などを「オプション教材」とし、ユーザー企業がそれぞれの事情に合わせて構成できるようにしました。

 2.大幅(40%もの)コストダウンに成功しました
 教材の製造方法を見直し、製造にかかるコストを大幅に下げることにより、価格ダウンに成功しました。
 この機会にぜひご活用ください。詳しい資料をご希望の方はご連絡ください。 (担当 叶内)

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試作・実践しました 〜〜
 「ネットワーク時代のコンピュータ教育」指導者研修カリキュラム

 いま小中学校では、インターネットを利用できるコンピュータが続々と設備され、それを使って子供たちをどのように指導するかが問題となっています。これまで一台ごとに使っていたコンピュータがネットワークに接続され、インターネットを使って遠くの海外とも簡単につながってしまう現在、そうした技術をどのように学習し、また指導していくかが大きな問題になっています。コンピュータに関する基礎能力(リテラシー)も、いま新たな形で求められる時代になったといえるでしょう。

 センターでは、今夏、小中学校教員に対する新しい「コンピュータ教育研修」のカリキュラムを作り、実施しました。(水海道市教員3名に対し9日間)
 カリキュラムは、パソコンに関してワープロソフト程度の利用はできる人を対象として、1週間から10日前後の内容になっています。研修の方法は、ネットワークにつながった一人一台のコンピュータを利用し、3人程度のグループで学習用プリント(ねらい、学習方法、学習の指示を書いたもの)を中心に、インストラクターのアドバイスに従ってすすめる、というものです。 
 学習内容の概略は以下のようなものです。

◆コンピュータ技術の内容

・スタンドアローン(1台単独)でのソフトウェアの利用  キーを見ないタイピング/文字・数値・グラフィック・画像データ作成(ワープロ、表計算、グラフィックソフトの利用)

・コンピュータの基本的なしくみ、ソフトウェアのしくみ  コンピュータの中、画面表示の原理、データとプログラム、コンピュータウィルスのからくり

・ネットワークでのコンピュータ利用  LANでの機器・ファイル共有、メール/インターネットでのメール・WWWのホームページ作成

◆コンピュータ教育の方法の内容

・意欲がでる学習とはどんなものか  意欲が出る学習、人間の学習とはどういうものか

・意欲をもたせる学習の設計、学習指・導  意欲がでる学習はどのように出来ているか、意欲のでる学習の指導はどのようなものか

・ネットワークにつながったコンピュータの教育の方法  インターネット活用の教育例

お互いにメールを送っているところ

〈 受講した方の感想 〉 
A先生: 研修の始めに目標を見たら、こんな事ができるかと自信喪失したが、やってみてだいぶ自信ができた。細かいところは大変だが方向が見えたようだ。
 
B先生: 今度コンピュータが学校に入ってくる予定で、自分が責任者にさせられ「なんで自分が」という気持ちで研修に参加した。これまでコンピュータに詳しい人に教えてもらったが、全然わからなかった。ここへきて「分からないことが聞ける」ようになった。

C先生: ここへ来て、「目からウロコが落ちた」。自分ではできないと思った「キーを見ないタイピング」が、できるようになった(これまでカナキーを見て打っていたが、今回ローマ字キーを見ないで打てるようになった)。自分の指が動くようになった。無駄のない学習プログラムで学習したためだと思う。学校でも活かしていけるような気がする。すべてがためになった。「こんなこともできるんだ」という気持ちです。

研修生の作成したホームページは、次のアドレス(URL)にあります。ぜひごらんください。
http://www.akuti.com/seminar/Default.htm

  このホームページは、今回の研修に全面的に協力してもらった小池いづみさん(元センター研究員)が代表をしているアクティエンタープライズ社のWebに間借りさせてもらっています。今回の研修でも「インターネットの利用」等はアクティ社のマシンとネットワークシステムによって行いました。なお、同社はコンピュータに関する研修を得意とするとともに、ソフトウェア開発も業務としています。詳しくは、
http://www.akuti.com/をごらんください。

 今回試作したカリキュラムは、分割して短期の研修にすることが可能です。ご関心のある方は、ご連絡ください。                             (担当 矢口)

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●実践を重ね、決まってきました 〜〜
       「意欲を育てる学習」の短期セミナーカリキュラム

 最近数年の間に、行動学習理論の習得を目的とした短期セミナーを度々実施する機会に恵まれました。そのつど対象者に合わせてカリキュラムを工夫してきましたが、昨年、今年と続いて、富山県の看護教員を対象とした3日間のセミナーによって基本形ともいえるものが確立してきたように思います。
 人間を育てるには、人間の行動(脳の働き)が見えなければなりません。セミナーでは、人間の行動の見方をつかむことを中核にして、研修内容を行動中心に考えること、研修生(部下)の行動をよく見て指導すること、行動させるための場を考えること、などについて学びます。教材やアプローチは、対象者とその目標によって異なるのは当然ですが、行動学習理論の根本をつかんでいただくという中核は貫いています。
 研修の方法は、具体的な学習事例を分析したり、人間の行動を分析して学習のさせ方を設計するなど、凡てグループによるカードワークです。
 研修担当の方はもちろんですが、部下の指導に当たられるリーダー的立場の方にも役立つカリキュラムだと考えられます。ぜひご検討・ご宣伝ください。          (担当 小沢)

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研究成果を発表しました

 その1 レポートに内在する学習者の姿勢を読みとる
        ―方法論と事例を雑誌「看護教育」に発表―

 ここ2,3年表題に掲げた試み(東京女子医科大学看護大学 大森武子教授、福島県立医科大学 大下静香教授との共同研究)を続けてきましたが、このほど、看護教育担当者向けの雑誌「看護教育」(医学書院)6月号に「特集 学生の主体性を読みとる−行動姿勢の視点から」として発表しました。
 これは、看護技術者として最も大切なのは、教えられた結果の知識量ではなく、自ら情報をとるとか、受け取った情報を鵜呑みにするのでなく過去の経験や知識と総合整理するとか、物事を構造づけたり他の物事と関連づけてとらえるといった、行動の姿勢であり、それを読みとる力、育てる力が教育担当者に欠くべからざる能力であるとの考えから進めてきたものです。
 今回発表したのは、その読みとる力のところに焦点をあてたもの。看護短大生約100名の学科授業及び臨地実習終了後のレポートを対象に、問題のとらえ方、整理のしかた、関心の寄せ方、記述のしかたなどから、行動姿勢を分析、読みとる方法とその具体事例を紹介しました。読みとる視点は 
1.構造的把握力 2.咀嚼力 3.行動的把握力 4.自己学習力 5.主体的行動姿勢 6.感受性 の六つとしましたが、これは育てるべき人間像から決まってくるもので、対象に応じて変わるものですが、方法論は看護学生に限らず、企業の人材育成などに活用できるという手ごたえを感じています。

 その2 「けつあつくん」について、看護研究学会で発表

 昨年特許取得した血圧測定原理学習用シミュレータ(商品名「けつあつくん」)について、日本看護研究学会の学術集会(7月30日、於弘前市)にて二つの発表を行いました。
 一つは、その「開発のねらいとその構成」を矢口が発表。血圧測定の際に血管の中で起こる現象をシミュレーションし、それを自分の目と耳とで確かめられる、自分で組み立てられる簡単な装置を開発しました。さらに、物事の原理をとらえる学習で大事なのは、そのことを知ることではなく、思考のプロセスをつかむこと、そしてそのための学習教材は、単に決まった現象を観察するためのものでなく、学習者の発想、予測、計画などの主体的な働きかけを促し、それに応えるものが必要との考えを発表しました。
 もう一つは、共同研究者の大下静香氏が、同シミュレータを使っての授業に対する看護短大生80名のアンケート調査の結果を発表。「イメージしやすく理解が深まる」といった学習理解への効果(85〜99%)以外に、「目に見えるので面白くやる気が出る」「自分で操作するので興味がわく」「グループで実験しながら考えるので楽しい」といった学習への意欲の面で特に大きな効果が見られた(94%)ことを発表しました。               (矢口 みどり)

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